原石のシンデレラ~孤独なお姫様~

到着して、部屋に集まった。


お母さんの入れられた箱を無言で見つめていた。


火葬場の係員が、白い手袋をして佇んでいた。


「それでは、これから火葬場へ向かいます」


不意に、反対側のドアが開かれた。


「すいません、遅れました」

中年の男性が、喪服を纏い現れたのだ。


━━━誰?


見覚えのない顔に、困惑したが、私に気づくと無言で会釈をしてきた。


私も、会釈を返した。


「それでは、これから火葬場へと向かいます」


ぎぃーと、両開きされた重そうなドア。

丁寧に、お母さんの入った箱を乗せたカートを押しながら、前に進んでいく。


真っ直ぐ縦に置かれると、
係員は、静かに言った。


「……潮宮 桜(シオミヤ サクラ)様…享年、
38歳……早い過ぎるお別れ、……………今日で、これが最後で皆様とお別れです。……それでは、合掌と黙祷。」



係員の長い説明の後に、突き刺さる現実。


黙祷をして、実感した。


━━━━


それでは、終わるまで、待合室でお待ちください。





待合室に入るなり、先ほどの男性に声をかけられた。


「ご挨拶が遅れました、私…唯王 潤平(ユオウ ジュンペイ)と言います」


「ゆ、ゆおうって……あの唯王財閥の……」


「はい、そうです、あなたのお母様が、私の屋敷の家政婦さんでしてね……



「お、お母さんが」


ポッカーンと、口を開けて呆然としていた。