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「ありがと、姫奈のおかげで、とてもかわいいカーディガンが買えたわ。」



信号が青になり、横断歩道を渡っていると、勢い良くカーブして走ってくる車がきた。


━━━━━あぶないっ




母の声と同時に、私の身体は後ろへ転んで尻餅をついた。

キキーッッ……ドンッッ……どさっ。



━━━目の前で母が跳ねられて、地面に勢い良く叩きつけられた。


「……お、お母さん?」


恐る恐る、母のそばへいく。



つつー……と、後頭部から血が溢れ出てきた。

母は目を瞑ったまま、ピクリともせず黙ったまま━━


「お母さんッッ……お母さんッッ……!!」


パニック状態に陥った私は、ひたすら母へ呼びかけ続けた。


その間にも、血は止まらず流れ出たまま。


[……救急車お願いしますッッ……場所は…]


[いやだ、……事故だわ。可哀想に]



周りは野次馬だらけで、ごった返した中、私は母のそばから離れなかった。