泣き虫な王子様

「一希…くん…。」

『小1のとき、いろいろとすまなかった。今、俺はこの通り、変わっちまったけど、あのときの雫ちゃんへの気持ちは、変わってねぇから…』

そのときの一希くんは顔を赤らめていた。

「一希くん…モテモテなんだね。」

『あぁ…あれは…その…』

動揺している一希くんは、夕日に照らされて、綺麗だった。


『俺、強くならなきゃって感じてさ、女いっぱい作って、喧嘩も強くなれば、強い男になれるって信じてるんだ。』

「えっ…」

一希くんの言葉は、あたしにとって衝撃的だった。

『だから、女をたくさん作ってるんだ。』

「…と思う。」

『え?』

「強い男って、大切な子をしっかりと守ってあげることじゃないの?…彼女になる子って、自分だけを見ててくれてることが、一番の特効薬なんだよ!!」

あたしは、気付いたら涙が出ていて、そのまま言葉を吐き捨てて寮へ戻った。


一希くんを一人残して―――