ふと頭をよぎる、己の内なるものの存在。

只の人間である龍太郎だが、内に住まわせているものは『人ならざるもの』。

しかもレスクレやメルでさえ一目置くほどの、とびきりのものだ。

奴ならば、二人を相手にしても互角に戦えるかもしれない。

そう意識した途端に。

『…どうした』

己の底…深い深い奥底から声が聞こえる。

『難儀しているようじゃないか、小僧…力が要るか?』

違う!

『貴様は一人、相手は二人…不利よな…劣勢よな』

んな事ねぇ、俺はこのくらい一人で跳ね除けられらぁ!

『只でさえ貴様は人間、相手は悪魔に魔物だ…貴様が我の力を借りたとて、何ら恥じる事はないわ』

…………。

『そう…頭数が二対二になるだけの事…そう依怙地にならずに、我を求めよ…我を欲せよ…』