「……」

制服の袖を裂き、血塗れの両手に巻きつけて止血しながら、龍太郎は歯噛みする。

すっかり息が上がってしまっている。

冷や汗が止まらない。

久々に感じる感覚だ。

『恐怖』

悪魔と魔物に、執拗に命を狙われる…尤も、レスクレとメルは命まで取ろうとは思ってはおらず、単なる戯れに過ぎないのだが…。

それでも人間でしかない龍太郎にとっては、二人のじゃれ合いすらも命懸けの行為だ。

どんなに修行を積んだ龍太郎でも、この二人を同時に相手取るにはまだ未熟。

ましてや彼らを凌駕するには、あと十年は修行を積まねばなるまい。