コンクリートの床を貫いて、メルの周囲を取り囲むように幾つかの武器が突き立てられる。

「これは主神オーディンの神槍グングニル、このハンマーは雷神トールの象徴のミョルニール、これは三国志の猛将として名高い呂布奉先愛用の方天画戟…」

得物を一つ一つ指でなぞりながら。

「龍太郎お兄様は、どれで遊んで頂けますか…?」

可憐な笑みを浮かべるメル。

その愛らしい笑みに、ゾクリとした寒気を感じるのは何故だろう。

子供が無邪気に蟻を捕まえて蟻地獄の巣穴に落としてしまうような、そんな無垢な残酷さを肌で感じ取っていた。