月の可憐な唇から、『パシリ』などという単語が出てくるとは。

イリアは軽く目眩を覚える。

そうこうしているうちに、鯛焼きが月に手渡される。

「こっちが餡で、こっちがカスタードクリームだそうです、イリアさんはどっちがいいですか?」

「そ、そんなっ、私に選択権を与えて下さるなんてっ…イリアは残り物で十分でございますっ!」

「そうですか?でしたら私が選びますね…買い食い初心者の私は、やっぱりオーソドックスな餡の方を頂くのが筋でしょうか」

そう言ってカスタードの方の鯛焼きをイリアに渡す月。