「フン…」

襟を正し、頬の血を拭い。

静寂は疾風に背を向ける。

研究ばかりで逞しさの欠片もない、細く華奢な背中。

その背中が、今日ばかりは驚くほどに頼れるものに見えた。

「特撮ヲタクの次男坊が生意気に…この天才の長兄に説教か」

肩越しに振り向いた静寂は、不敵に笑って見せた。

「ついて来い、出来の悪い弟よ…世界を驚愕させに行くぞ」