今は校舎の敷地内の方を見ている出麼。

しかし一昨年の修学旅行に行くまでは、彼女は反対側…校舎に背を向け、遠く山の方を見ていた。

腰の辺りまでの黒のツインテールを揺らし、緑生い茂る山を黙って見つめる。

彼女が心を通い合わせているのは甃だけ。

人間付き合いなんて嫌いだったし、友達だって甃だけでいいと思っていた。

仕方なく天神学園に通っていただけだったし、許されるならばこんな学園よりも、ジャングルの中でずっと過ごしていたかった。