が。

「掃除係なんですけどね、僕は…」

ユーリー、蚊の鳴くような声で小さく呟く。

あまり目立つ事は、彼の望む所ではないのだ。

闇に乗じ、人混みに乗じ、素早く、的確に、誰にも悟られず事を為す。

まるで一流の暗殺者のように、ユーリーは掃除をこなす。

それだけに自分は裏方が向いていると考えているし、周囲の耳目に晒されるのは本意ではない。

なのに。

「ユーリーいっとこう!ここは生徒会長選に出とこう!大丈夫!七星ちゃん、涛波君、かなこちゃんの三人だったら楽勝だって!」

そんな事を唆してムリクリ彼を立候補させたのは、誰あろう一人第三次世界大戦、名神 きょうこだった。

流石トラブルメーカー、選挙までも混乱に導く混沌の申し子だ。