龍太郎一味のご無体な学園生活

外でじっとしていても寒いだけだ。

「と、とりあえず行きましょうか?映画の時間もあるし…」

「は、はいっ」

拓斗と喜屋武は歩き出す。

…二人はクリスマステロの時から、一緒に映画を見に行こうと約束している。

喜屋武は拓斗がチョット・リーのファンだと聞いて、正月映画のペアチケットをプレゼントしたのだ。

「アン先生も、チョット・リーのファンなんですよ」

「そうなんですかぁ…」

つかず離れずの距離を保ちながら、並んで歩く拓斗と喜屋武。

赤面がおさまらないのか、喜屋武のロイド眼鏡は曇りがちだ。

天神地区の中心街に出て、映画館へ。

館内の売店でキャラメル味のポップコーンとコーラを購入し、二人並んで席に座る。

映画自体は、よくある派手なアクションものだ。

チョット・リーの実戦にも使えそうなアクションがふんだんに盛り込まれており、拓斗はワクワクしつつも真剣に見入っていた。

喜屋武の方はというと、その真剣に見入る拓斗に見入っていたようだが…。