龍太郎はプールから上がり、ニカッと笑う。

「大丈夫、馬鹿は風邪引かねぇんだよ」

『何言ってるんだか…』

もう一度呆れたように溜息をついた後。

『早く着替えて暖かくしないと…』

スポーツタオルで龍太郎の体を拭く小夜。

…思えば彼女も甲斐甲斐しい。

誰がこんな元旦早朝の馬鹿げた稽古に、付き合ってくれるだろう。

苦笑いと同時に、龍太郎は小夜の感謝の言葉もない。