龍太郎一味のご無体な学園生活

と。

「花音殿?」

善が声を上げる。

壇上、緊張した面持ちで一歩前に出た花音がヴァイオリンで弾くのは『聖しこの夜』。

引っ込み思案な彼女が、この場では堂々たる演奏。

傍らでは鎮座した五所川原とさぶちゃんが、花音の演奏ぶりを応援するように見守っている。

更に曲は変わる。

「お、和音だ!」

鷹雅が声を上げる。

いつの間にかオルガンの前に座った和音が弾くのは『ハレルヤ』。

『メサイア』とも呼ばれる曲だ。

ブラスバンド部のオーボエ、ファゴット、トランペット、ティンパニと共に、荘厳に音色を響かせる。