☆荏月&遡雫の場合

「見ろよ遡雫ぁ、クリスマステロの招待状来たぜぇ?」

ポケットから招待状を取り出して、愛しい妹に見せるヤン男。

「うわぁっ、今年もクリスマステロやるんだねぇ、嬉しいねぇ、嬉しいねぇ」

親友・大狼の柿ピーにコショコショ話しかける遡雫。

「クリスマスっつったら恋人達のイベントだぜぇ」

さりげなくTシャツを脱ぐヤン男。

Tシャツには『雨は夜更け過ぎに雷雨に変わるでしょう、折り畳み傘を携帯した方が安心かもしれません』のロゴ。

ただの天気予報じゃん。

「イルミネーションとかクリスマスツリーを寄り添って二人きりで見ながら、イチャコラするんだぜえ?そうしてるうちに見詰め合って、距離が縮まって、唇と唇が…」

何か一人でウットリしているヤン男。

その横で。

「おっきなケーキあるかなぁ柿ピー、七面鳥も食べたいねぇ、クリスマスチキンもいいよねぇ、皆いっぱい料理持ち寄ってくれるかなぁ、楽しみだねぇ、楽しみだねぇ」

まるっきりヤン男の言葉には耳を貸さない遡雫。

彼女の目的は目下の所、クリスマステロで饗される料理の事だけのようだ。

「……」

ヤン男、いそいそとTシャツを脱ぐ。

Tシャツには『今年のクリスマス中止のお知らせ』のロゴ…。