「それで…」

アルベルトの空になったコップに酒を注ぎつつ、小岩井は言う。

「学園長は、愛さんと抜け出してあげるのですか…?…クリスマステロ…」

「…………」

コップに満たされていく酒を見つめながら、戸惑ったように。

「…うん…そうしようと思ってる」

アルベルトは返事した。

僅かに細まる小岩井の瞳。

「学園長はお優しいですね…まだ子供の愛さんの憧れを壊さないように…彼女のお願いに付き合って差し上げるのですね…」

「…………それがね」

満たされたコップの酒を、アルベルトは一気に呷る。