小岩井があまり酒が得意ではないのはアルベルトも知っているので、龍娘のように無理に飲ませたりはしない。

飲みに誘ったのは、寧ろアルベルトが酒が入らないと話せない相談があるからだ。

「好きなものを頼んでくれていいよ小岩井さん、ここは僕のオゴリだ。その代わり…」

声を潜めるアルベルト。

「これから話す事は、くれぐれも内密に…誰にも話さないでくれないかい?」

「……」

コクンと頷く小岩井。

もとより無口な男だ。

どんな話だろうが口外する事はないだろう。