その夜、珍しくアルベルトが小岩井を飲みに誘った。

大抵は龍娘がアルベルトと小岩井を半ば強引に引き連れ、ついでに喜屋武が記憶をなくすまで酒を流し込むというのがお決まりのパターンなのだが、今回は女性二人は誘っていない。

男二人、差し向かいだ。

「悪いね小岩井さん、無理言って付き合ってもらって」

天神地区ガード下、貨物列車が通過すると震動で揺れるような赤提灯の屋台でおでんを肴にしながら、アルベルトは小岩井のコップに日本酒を注ぐ。