「……」

雪菜の名前が出た瞬間、僅かに小岩井の表情が変わったように思えたが。

「……自分は穢れ子として育った身ですから」

穢れ子は穢れ子らしく、汚れ仕事がお似合いだ。

自嘲するかのように呟き、小岩井は歩き出す。

「惜しいですね…貴方なら次期地区長の座も約束できるのに」

「……地位や名誉に興味はありません」

兆志の言葉にも振り向かず、小岩井は歩いていく。