処刑人の剣を鞘に納め、柄をギュッと握り締める。

そうする事で、愛剣は手元から消えた。

死神の得物は必要に応じて顕現させる事が出来る。

実在の得物と違って、常に持ち歩く必要はないのだ。

「……」

小岩井は、自分の身につけているツナギを見下ろす。

少し返り血を浴びてしまった。

灰色のツナギに、赤い返り血は目立つ。

このまま学園の宿直室に戻っては、雪菜に心配をかけてしまうだろうか。

彼女は雪女、人外だ。

大きく括れば食屍鬼も雪女も人外。

同胞を殺した小岩井を、雪菜はどう思うだろう。