「そうか、流石旦那だな、よく鍛えてる」

苦笑いしながら、龍太郎は翡翠の隣で湯に浸かる。

その胸板には、刀の切っ先で穿たれた痕…。

「貴様はどうなのだ」

「ん…別に日常生活には支障はねぇけどな…これから寒くなると、たまには疼く事があるかもな」

龍太郎もまた、タイマントーナメント決勝で翡翠の奥義を食らっている。

頑丈が取り得の彼が、学校を休んで養生するほどの傷だったのだ。

完治するには長い時間が必要となる。

「まぁ気にしてねぇよ、傷が残ったのはお互い様だしな」

「……」

龍太郎に気付かれぬよう、翡翠は微かに笑みを浮かべた。