龍太郎一味のご無体な学園生活

小岩井が瞬時に判断したのは、誠一郎を体育館から出すのはまずいという事だった。

これ程の強力な怪異を憑依させた誠一郎が、天神学園内で好き勝手に暴れるのは非常に危険だ。

触手の攻撃を避け、処刑人の剣で切り払いつつ、複雑な印を組んで結界を張る小岩井。

体育館全体を包み込む大規模結界。

先程の中位結界よりも強力なものだ。

おいそれと破られはしない。

これで一旦誠一郎を体育館に閉じ込め…。

「いいのかい?小岩井さん」

結界を張り終えた彼に、誠一郎が呟く。

直後。

「!?」

跳躍から着地した小岩井は、何かを踏む。

それは、体育館の床一面に這いずる触手だった。

床だけではない。

壁も、天井も、窓も扉も封鎖するように、夥しい数の触手が全面を覆っている!

一本一本が、大きく裂けた口腔と鋭い牙を持つ触手。

その数、数千に匹敵する。

「閉じ込めたのは小岩井さんじゃない…俺だよ」

いわば触手の結界。

処刑人の剣でも切り刻むには多すぎ、また脱出するには退路がなかった。

チェックメイト。

次なる一手を講じる暇もなく。

「…………っ!」

小岩井は、数千の触手の群れの中に埋もれていった…。