龍太郎一味のご無体な学園生活

尚も諦める事なく、執拗に小岩井に追いすがる触手達。

見れば。

「……!」

触手達の先端には口があった。

大きく裂けた口腔、鋸のように生え揃った牙、垂れ流し、飛び散らせているのは体液か唾液か。

そんな明確な口が存在するのに、目や鼻や耳は存在しない。

言うなれば口だけ持つ黒い蚯蚓やゴカイ。

何というおぞましき姿か。

元は人間の姿であった幼子の悪霊が、このように変貌するとは信じ難い。

死神になって日が浅く経験も少ない小岩井だが、このようなケースは実に稀であった。

怪異にこんな変貌を遂げさせたのも、『体育祭実行委員長の弟』というだけで長く虐げられてきた誠一郎の歪んだ感情の為せる業なのか。