黒雲が、上空を覆い始めた。

一雨来るかもしれない。

ポツリポツリと雨粒が落ち始める頃。

「それではタイマントーナメント、準決勝第1試合を始める」

寒緋が宣言した。

リング上、立つのはメアリアン・コリックと銀。

魔物と魔法使いという、属性的には比較的似通った両雄だ。

「同じ学園にいながら、こうして相対するのは初めてですね、銀お兄様…」

可憐な微笑みを浮かべるメル。

「いやあ、可愛いなあメル…なーちゃんいなかったら、ゾッコン惚れてたかもなぁ、にゃははぁ」

銀はおどけるように言った。