龍太郎一味のご無体な学園生活

リングに上がった翡翠。

腰に川蝉と黄昏を帯刀した隻眼の剣豪。

「お、翡翠先生だ」

「何か最近ご乱心減ったよね」

「一時期ほどすぐ刀抜かなくなったし」

「きっと丸くなったんだよ、牙が抜けたっつーかさぁ」

あまり学園内での騒ぎを起こさなくなった翡翠に対し、観客達はそんな見解を述べるが、直後。

「!!!!!!!!」

リング上で一気に殺気を開放した翡翠に、満員御礼の観客達全てが言葉を失う。

水を打ったように静まり返る場内。

「…牙が抜けただと?バカヤロウ…」

その殺気に戦慄した表情で、リング下の龍太郎が呟く。

「あれが旦那の本来の姿だ…去年のタイマントーナメントから更に『剣気』が強くなってやがる…流石前大会の優勝者…現天神学園の覇者だぜ…」

そして、そんな覇者の『剣気』を真っ向から受け止めて尚、眉一つ動かさない男。

癖が強く明るい茶色の髪、稲妻を模したペンダント、彫刻のような肉体を露わにした、1年生のラロ・ミョルニル…。