大きく振りかぶる拓斗。

拳が開手の掌となり、強く床を踏み締める!

猛虎硬爬…。

「教えてやんよ、拓斗…」

刹那、龍太郎の小さな呟きが聞こえた。

「勝ちを急いだ方が負けだ」

「え…?」

その言葉が、やけに耳に残った。

直後、いつの間にか拓斗の腹に押し当てられていた拳。

そこから放たれる、巨大な衝撃の波!

「な゛っ…………!」

全身に広がっていく、体がバラバラになるようなダメージ。

この技…去年のタイマントーナメント決勝で見た…。

「浸透…勁…」

「…ご名答…」

崩れるように倒れる拓斗。

それを確認して、ようやく。

「きつかった…ぜぇ…」

耐えられなくなった龍太郎も、拓斗のすぐ隣に倒れ込んだ。