元気のない兄をどうしてやる事も出来ず、一人寂しく歩いていく花音。

愛する妹に心の中で詫びつつ、拓斗は考えていた。

…潮時なのかもしれないと。

心の中に、微かな不安があったのだ。

昨年のタイマントーナメント決勝戦。

超人的な戦いぶりを見せてくれた兄弟子の龍太郎。

闘志に火をつけられたのは事実だ。

僕も、僕もきっとあんな風に…そしていつかは龍太郎と同じ舞台に。

そう思って、日々切磋琢磨してきた事は事実だ。

師を違え、別々の道を歩み出した時も、進む道は違おうともやがては肩を並べる存在に…そう考えた。