この時間、他の教師達は授業に出払っている。

学園長はいつものように忙しく異世界の方に出かけているし、教頭のお初は日課の学園内散歩中。

珍しく職員室は高成と鞠子の二人だけだった。

「……」

「……」

シュンシュンと、ケトルの湯が沸騰する音だけが聞こえる職員室。

高成は脇目も振らずに書類にペンを走らせているし、鞠子はケトルの前で俯き加減に立っている。

息苦しいほどの沈黙だ。