群れの狐霊に、たった一人の幼子。

数の上では男子生徒の方が有利に見えた。

だが違う。

リグニアには目に見えて理解できた。

この戦いは数で決まるのではない。

互いの持つシルエットの『格』で決まる。

そして誠一郎の持つシルエットの方が、格段に強力で、凶暴で、邪悪だった。

「覚悟しろ、先輩…」

前髪に隠れて見えない誠一郎の目。

その瞳が、黒い輝きを宿す…。

「てめーは『コイツ』を怒らせた」