(何…あれ…)

思わず息苦しいような感覚に陥る。

様々な人間のシルエットをこの左目で見てきたリグニア。

特にこの天神学園では変わったシルエットが多かったが、不定形のシルエットというのは、誠一郎が初めてだ。

その黒い影のようなヴィジョンが。

「っっっっっ!」

赤い血の色の、ボンヤリとした光を一対灯らせ、リグニアの方を見る。

あれは…眼だろうか?

真紅に光る、血の色の双眸。

誠一郎のシルエットは、リグニアが見ていた事に気付いていたのか。