キツイ。

動きのない、ただ姿勢を保っているだけの稽古なのに、とめどなく汗が出てくる。

こんな稽古を、龍太郎は毎日続けていたのか。

成程、強くなる訳だ。

そんな事を思いつつ、拓斗は同じ稽古を出来る事を嬉しく思う。

…同級生の龍太郎は、何時だって拓斗の憧れだ。

家柄も育ちも違うものの、努力家でひたむきな拓斗と龍太郎は、共通点もある。

どこか似ている龍太郎が、努力で目標を達成して、己の前を歩む姿は刺激になるし、自分の事のように誇らしかった。