教室を出て、誠一郎は廊下を歩く。

無表情、長い前髪に隠れた瞳。

その心情は、外見からは窺い知る事は出来ない。

廊下で擦れ違った生徒達から。

「あ…ほら、見ろよ…!」

「うわ、辻神っ」

「アイツだろ?例の…」

ヒソヒソと噂をする声が聞こえる。

本人には無関係でも、誠一郎はこの天神学園では有名人だった。