真っ白なキミに。

「わぁーい、雪だ。雪だ」


雪に喜ぶ幼い男の子は、白い息を吐きながら満面の笑みで走り出した。



「走ったら、危ないわよ」


後ろから、母親が慌てて追いかけてきた。


「大丈夫……!!わっ、」


よそ見をして走っていた男の子は、僕の目の前で転んだ。


「大丈夫かい?」

起きあがらせて、ズボンについた雪をほろってあげると、


「ごめんなさいね~」


「いえ……。気をつけるんだよ」

「おにーちゃん、ありがとっ」


親子が手を繋いで歩いていくのを、僕は見届けていた。



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街へ向かうと、どこもクリスマス一色。


「そっか、クリスマスか。」


ポツリと小さく呟く度に、白い息が現れては消えた。



もう……そんな時期なんだな。

月日が経つのは早いな…。



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ボンヤリと歩いていると、小さな雑貨屋さんに目が止まった。


女の子が好きそうなアクセサリーが並べてある。


━━プレゼントに買ってあげようかな。


【カランカラン…】


ドアを開けると同時に、ベルが鳴った。


「いらっしゃいませ。」



狭い店内なので、ぐるっと一周しながら、品定めしていた。



ふと、ひとつのネックレスに目がいった。


真珠位の大きさで、雪のように真っ白で…とても輝いていた。


「すいません、これください」


「お買い上げありがとございます…。彼女にプレゼントですか?」


「えぇ…」


「今、ラッピングしますので、少々お待ちください」



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「お待たせしました、どうぞ」



僕は、ジャンパーのポケットに入れると
、彼女の元へと向かった。

「気に入ってくれるといいな。」



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ガチャ…。

「ただいま…。今日がクリスマスだと忘れていたよ。」


「………ちゃんとプレゼント買ってきたから大丈夫だよ。」




「はい、………此処に置いておくよ」




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目の前には、穏やかに眠っている彼女の姿。


━━━1週間前に交通事故に巻き込まれてから、ずっとこのまま。



「………いい加減、目覚ませよ。お前寝過ぎだぞ。」


笑ってみたけれど、目に涙が溜まっていく。



…………カーテンが閉まっていないのに気づき、僕は窓の方に向かった。



シャー……。「け…い…ちゃ…ん」

  

「日向子!!……」


「けい…ちゃん…」



「……ありがと。……私、プレゼントなくて、ごめんね」



力なく弱々しく笑う彼女を抱きしめた。








「……メリークリスマス。」



耳元で彼女は僕に囁いた━━




僕にとって最高のクリスマスプレゼント。



end。