「そこまで。」


瑞城先生の声と

ストップウォッチの

アラーム音が

同時に聞こえた。


やっと午前中の

テストが終わった。


瑞城先生が答案を

回収した。


「では午後の
 テストは1時間後。
 1時間休憩だ。
 ここは
 飲食厳禁だから
 奥の準備室で
 食べるか?」


「え?あ、はい!」


突然の提案に

ビックリしたけど

先生がいつも消えていく

準備室に入れるのは

とてもうれしかった。



私はカバンを持って

瑞城先生と

準備室に入っていった。


「そこ俺の机だから
 好きに使っていい。
 俺はちょっと
 職員室に戻るから。」


「あ・・はい・・・。」


職員室に

行っちゃうんだ・・・。


「何かあったら
 そこの電話から
 職員室の内線番号を
 押して連絡するように。」


「わかりました。
 あ、あの・・・。」


「なんだ?」


やっぱり・・・

ちょっと怖い・・・


「えーと・・・
 おにぎりを作ったんで
 よかったら・・・」


おにぎりが入っている

包みを差し出した。


「・・・・。
 悪い。
 俺、パンが好きで
 米は嫌いなんだ。」


「そ、そうですか・・・。」


瑞城先生は背を向けて

準備室を出て行った・・・。


瑞城先生の冷たいことは

分かっていたことだけど

少し悲しくて・・・


1人で少しだけ


泣いた。