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安里 匡 視点
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「それから少しして
僕の目にとまった
兄から預かった手紙。
『俺を訪ねてくる
生徒がいるはずだから
渡して欲しい』と
頼まれた手紙。
僕はその手紙を読んだ。
そして
すぐにわかった。
兄が手紙を宛てた生徒は
兄が毎日話す生徒だと。
兄の話す彼女は
とても一生懸命で
かわいらしくて・・・
きっと兄はその生徒が
好きなんだろうと
日ごろ思っていた。
その手紙で僕は
兄の気持ちに
確信を持った。
そして
その生徒を
兄のかわりに
守っていければ
少しは兄への償いに
なるだろうかと
考えたんだ。」
「・・・かわり
ばかりですね。」
僕は哀れみの目で
芹沢さんを見つめ
ながら言った。
「え?」
「瑞城先生の
『かわり』
ばかりだ。
僕は誰かのかわりは
イヤですから。」
「・・・。」
「いくつか質問しても
いいですか?」
「はい。」
力ない目で
僕の目みる芹沢さん。
僕も芹沢さんの目を
見て話し始めた。
誰のためでもない
僕のために――――。
安里 匡 視点
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「それから少しして
僕の目にとまった
兄から預かった手紙。
『俺を訪ねてくる
生徒がいるはずだから
渡して欲しい』と
頼まれた手紙。
僕はその手紙を読んだ。
そして
すぐにわかった。
兄が手紙を宛てた生徒は
兄が毎日話す生徒だと。
兄の話す彼女は
とても一生懸命で
かわいらしくて・・・
きっと兄はその生徒が
好きなんだろうと
日ごろ思っていた。
その手紙で僕は
兄の気持ちに
確信を持った。
そして
その生徒を
兄のかわりに
守っていければ
少しは兄への償いに
なるだろうかと
考えたんだ。」
「・・・かわり
ばかりですね。」
僕は哀れみの目で
芹沢さんを見つめ
ながら言った。
「え?」
「瑞城先生の
『かわり』
ばかりだ。
僕は誰かのかわりは
イヤですから。」
「・・・。」
「いくつか質問しても
いいですか?」
「はい。」
力ない目で
僕の目みる芹沢さん。
僕も芹沢さんの目を
見て話し始めた。
誰のためでもない
僕のために――――。

