佳人な先生

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 安里 匡 視点
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「君は・・・
 どこまで知って
 いるんですか?」



「僕が知っているのは
 あの朝帰りの日までの
 できごとです。
 僕たちが先にあなたの
 車を見つけて
 そこで僕は帰りましたから。」



「・・・・。」



「はぁ・・・
 また同じ顔に
 同じ言葉を言うことに
 なるとは・・・。」



僕はため息をついて

顔を上げた芹沢さんの

目を見て言った。



「え?」



「僕と星音は
 付き合ってません。

 『いい友達』ですよ。」


そしてまた

芹沢さんは目線をおとす。



「・・・最近の友達は
 『アト』が残るぐらい
 仲がいいんだね・・・。」



「フッ。
 嫉妬するぐらいな
 手放さなければ
 いいじゃないですか。」



「・・・・。」




「・・・『借り』って
 なんですか?」


僕はもう一度聞いた。

芹沢さんはうつむいたまま

少しずつ話し始めた。