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 安里 匡 視点
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-冬月病院-


裏のほうにまわり

夜間受付を訪ねた。


「あの・・
 芹沢先生は
 まだいらっしゃいますか?」



「失礼ですが、
 どちらさまですか?」



「もしまだ芹沢先生が
 いらっしゃったら

 『キリヤ』が

 訪ねてきていると
 伝えていただけませんか。」


「そちらで
 かけてお待ちください。」


そう受付の人に言われ

近くのソファに腰をおろした。


少しして

遠くから廊下を走る

足音が聞こえてきた。



そんなに走るぐらいなら

手放さなきゃいいのに。


僕は小さくため息を

ついて立ち上がり

足音のする廊下のほうへ

視線を向けた。


そこに現れたのは

白衣を着た

瑞城先生?!



いや・・・

まさか

これほどとは・・・。



僕らはしばらく

お互いの顔を見たまま

固まってしまっていた。