メモに記された

瑞城先生のお墓は

少し高台にある

洋風なものだった。


白っぽい大理石に

瑞城先生の名前が

刻まれている。


私は瑞城先生を

イメージして作った

リースをその

大理石の角にかかけた。


「やっと・・・
　来ることができました。」



ふわりと

自分のまわりの空気が

少し暖かくなったような

そんな気が気がした。



「私・・・
　やっぱり瑞城先生が
　好きです。
　きっと
　これからもずっと・・。
　
　だから・・・
　私はこれからも
　ずっと１人だと思います。
　けど・・・
　もしも・・もしも
　私の中の瑞城先生のことも
　一緒に愛してくれる人が
　現れたら・・・
　
　その時は・・・

　その時は、瑞城先生の
　次に・・・
　好きになっても
　いいですか？」


私は静かに涙を流した。

拭くこともせず

頬を伝っていく涙。


「そんな人・・・
　いるわけ・・
　ない・・・。

　あの人・・
　以外には・・・。」




私はしゃがみこみ

大理石に彫られた

瑞城先生の名前を

指でなぞった。


「瑞城先生・・・
　『借り』って
　なんですか・・？

　その『借り』と
　私の存在は
　釣り合うもの
　なんでしょうか・・・。

　もし・・・
　そうなのだとしたら
　今の私には
　その『借り』が
　うれしく思います・・・。

　・・・『２度』の
　私への合格祈願・・・
　ありがとうございました。」



私は立ち上がり

深々と頭を下げた。


私の目から

こぼれ落ちていった涙が

私の足元の大理石に

いくつもの

小さな水たまりを

作っていた・・・。