ちゃんと聞けば良かった。
琴美の不安な気持ちを。
ちゃんと伝えれば良かった。
僕が琴美を愛しているという気持ちを。
琴美と別れる事になってしまった。
「伝えたい事があって……」
久しぶりに会った週末の夜、アパートへ向かう途中僕はそう切り出した。
ポケットの中には婚約指輪を用意してあって、もう一度きちんと告白とプロポーズをして琴美との関係を固めようと思っていた。
琴美には迷惑でも東京に戻って来いと言うつもりだった。
なのに、僕が口を開く前に琴美が唐突に言葉を発した。
「聞きたくない!」
耳を塞いで、琴美は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「琴美?」
「私……仙台で長坂さんに気持ちが揺れた。だから綾人が天海さんに心が揺れても不思議じゃないと思ってる。言い訳必要ないよ……別れよう。それで私はいいと思ってる」
唐突な別れの言葉に、僕はしばらく呆然となった。
ポケットの中ので握り締めていた指輪の入った箱をふっと手放した。
琴美の不安な気持ちを。
ちゃんと伝えれば良かった。
僕が琴美を愛しているという気持ちを。
琴美と別れる事になってしまった。
「伝えたい事があって……」
久しぶりに会った週末の夜、アパートへ向かう途中僕はそう切り出した。
ポケットの中には婚約指輪を用意してあって、もう一度きちんと告白とプロポーズをして琴美との関係を固めようと思っていた。
琴美には迷惑でも東京に戻って来いと言うつもりだった。
なのに、僕が口を開く前に琴美が唐突に言葉を発した。
「聞きたくない!」
耳を塞いで、琴美は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「琴美?」
「私……仙台で長坂さんに気持ちが揺れた。だから綾人が天海さんに心が揺れても不思議じゃないと思ってる。言い訳必要ないよ……別れよう。それで私はいいと思ってる」
唐突な別れの言葉に、僕はしばらく呆然となった。
ポケットの中ので握り締めていた指輪の入った箱をふっと手放した。