こうした日々を送るうちに、私は笹嶋さんとの事がだんだん心の中に抑えるのがつらくなってきていた。
ちゃんと恋愛をしたことがないのもあって、こういう気持ちをどうやって処理していいのか分からない。
ガーデニングショーはとっくに終わってしまって、もう誘うのも無理だ……。

もっと自分に自信があれば、結果はバラ色だったのかもしれないと思うと悲しくてアパートに帰ると泣いてばかりだった。


”エルへ

今日はちょっと落ち込んでます。
私はあまり容姿がいいとは言えなくて、ちゃんと恋愛もした事がないの。
整形手術をしたらいいのかなって思うけど、必ずしもそれで綺麗になれるとも限らないし。
誰にも負けないほどの性格の良さがあるわけでも無いし、頭脳明晰とかそういうのも無いし。
本当に平凡な女なんです。
エルは文字だけだから、私から逃げるとか無いかもしれないけど、もし現実に会ったらエルまで離れてしまいそうで、それが怖いです……“


こんな暗いメールを打ってしまったけど大丈夫だろうかと心配になったけど、彼はこんな事で無視したりする人じゃないのは今までのメール交換で分かっていた。
予想通り、これに対するエルの返事はその日のうちに届いた。


“ミサへ

生まれ持った容姿、本当にそういう事で悩む人は多いのは知ってるよ。
人間の価値基準もそこに焦点が絞られるのも知ってる。
でもね、ミサとはもう何百回もメール交換してるでしょ。
今どんな君に会ったところで、僕の気持ちは変わらないと思うんだ。
これは約束できる。

小鳥が死にそうなのを助けたくてポケットで暖めたけど死んでしまった事を泣きながらメールしてくれたミサ。
交通事故にあった子供を気にかけて、退院するまで見舞いに行ったミサ。
具合の悪いおじいちゃんを心配して毎日一枚一枚千羽鶴を折り続けたミサ。

こういう君の本当の部分を、全部僕は知ってるからね。

正直、君ほど素敵な人はこの世に二人といないって僕は確信してるんだ。
近いうちに本当に会いたいと思ってるんだけど……これは僕の勝手な思いだね。
もしミサさえその気になったらいつでも言って。全部秘密にしてきたけど、全てを打ち明けるから“