会議の終わりに、総理はこんな演説をした。


「様々な意見が出ましたが、とにかく消費税増税の法案は、如何なる障害があろうと私の政治生命を懸けて可決させる所存であります!

これは、社会科……いや、もとい……社会保障の安定化をはかるうえで避けては通れない政策なのです!」


そして、こんな事も言った。


「消費税増税は、経済の悪化を招くのでは……と懸念する議員の方もおられるようですが……

増税といっても、たかだか10パーセント程になるだけの事です。

『1割』というのは、実はそんなに高い割合ではありません!

プロ野球で、もしもシーズン通して1割しか打てない打者がいたとすれば、そんな打率の低い打者は直ぐにも二軍へと落とされてしまうでしょう……

『1割』とは、そんなにも低い数字なのですよ!」


演説の巧みさでは、党の中でも定評のある総理だったが、現税率の二倍の税率を『たかだか1割』と言い放ったこの総理の言葉を、私は決して忘れる事は無いだろう。




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