数日前…………



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総理は財務省の事務次官に呼ばれ、この日、財務省を訪れていた。


「これはこれは総理。わざわざお越し戴いて恐縮です」


「何か私に話があるとかで?」


「ええ、総理にしか出来ない話です」


「それで?」


「単刀直入に言いますと、消費税を上げましょう」


「は……?」


真実と幹事長が初めて総理からその話を聞いた時のように、この時の総理もあまりに唐突な事務次官のこの話に、困惑を隠せなかった。


「この時期に消費税増税ですか?」


「そうです、なにしろ予算が足りない!」


「しかしですな~事務次官。
この不景気に増税など、国民の反発は必至……そんな事をすれば、次の総選挙で我が党が不利になるのは目に見えている!」


そう……この時はまだ、総理には消費税を増税しようなどという考えなど微塵も持っていなかった。


ところが……


「おや、総理は面白い事をおっしゃる。
次の総選挙で、総理は本気で民民党が勝利するとでも思っているのですか?」


「そ、そんな事、やってみなければわからんだろう!」


その総理の言葉に、事務次官は笑って言うのだった。


「結果は歴然。民民党は次の総選挙では惨敗するでしょうな!
消費税を上げる、上げないに関わらずね♪」


「な!なんて事を!」


「ほら、そんなに怒るところをみると、実は総理も内心ではそう思っているのではありませんか?」


「そんな事は無い!」


否定する総理を無視するかのように、事務次官は話を続けた。




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