「今まで会った女性はみんな奢って 貰おうとしてたけど…君は違うんだな」 そう言って端正な顔を緩めながら、 手際よくメニューを開き目を通す。 そして側にいるウエイターに、 なにやら料理名らしきものを告げる。 「今、僕のお勧めのものを頼んだから、 是非口にしてみて」 「えっ……!?」 「僕が勝手に食べてほしいだけだから。ね?」 「で、でも……!」 「それに、逆に出させてもらえない方が 男として悲しいな」 少し切なそうな彼を見て、私はなぜか 有無を言わさないような空気を感じた。