「あたし、いじめられてるの。『悪魔の子供』だって。上履き、隠されたりあたしの給食にチョークの粉かけられたり……もうやだよ……」

いつも気が強い希子がぽつりぽつりと弱々しく話した。

母さんは「つらかったね」と希子を抱き締めた。

母さんは顔をあげ希子と俺の手を握り目を涙で光らせ、言った。



「引っ越ししましょ」




「……え?でも母さん引っ越す金ないって」

「お金なら母さんがなんとかする」

母さんは凛とした表情で答えた。

「そこまで無茶しないでお母さん……」



希子が言った。