『ごめんね…。
そんなになると知らずごめんね…。
無神経だったね。
でもだからわたしにそっけなかったんだね。
今日は帰るね。』
帰り際、ドアの向こうで聞こえた。
あのころから、気づいてた。
母さんと美柚はどこか似ていることに。
綺麗な長い髪に、長いまつげ。
どこか安心してどこか嘘くさい。
だから美柚のことを拒絶した。
『おいー、今日カテキョの日だろ?
校門の前に、琥嶋さんいるぜ?』
数日後。
家に帰るのが憂鬱で机に突っ伏していると雷基が話しかけてきた。
『お前があいつに話したからだろ』
僕は強く雷基を睨んだ。

