父さんは僕と晴香を抱きしめて泣きながら言った。

父さんが泣いたのを見たのは初めてだった。


父さんと母さんは離婚した。


母さんは家を出ていく際に言った。

『やっと…アンタ達から解放されるわっ!!

アンタ達なんか、産まなければよかった!!!

わたしの人生がメチャクチャになったものっっ!!!』


父さんは思わず母さんをひっぱたいた。

僕の中に、母さん(あの人)の血が流れているのだと思うと、吐き気がした。

母さんは虚ろな目で家を飛び出した。

ドアの先には…1人の男。

多分その男とどこかへ行ったんだろう。


妹はまだ6歳だった。

そこから僕はもう妹以外の女は信用しないと決めた。