足が重いけど、 それでもとにかく、 動きたかった。 家でじっとしているのは 心がざわざわする。 ぜったい、まだだれも 来ていない学校に、 余裕で着ける時間だった。 なんだろう。 校門の石の白。門の黒。 地面の薄茶色。 げた箱の茶色。 廊下の肌色。 階段の緑色。 「色」「もの」 普段 目にする“当たり前”。 今日は、どうしたのか、 まるで異世界のものでも 見るような、 不思議な感覚だ。