「髪の毛…
そっちのが全然いいと思うよ」
すれ違い様にぼそっと呟いた言葉。
そのまま保健室を出て行った。
私は今起こっているこの状況に頭の整理がつかないまま立ちすくんだ。
――――――放課後
「ちょっと桃ー!
帰ろうよう」
美月の大声でやっと我にかえる。
今日起こった事件…
「何やら私に詳しい美少年事件」は美月に言うべきだろうか?
なぜ彼はあんなに私を…
私を利用してサボッたとか言っていたけれど、バレッタのこととか髪型のこととか…やけに私のことを見ていたみたいで。
「さっきのケガ痛む?」
美月が不安そうに聞いてきた。
「ううん。そんなことないの。
ちょっとっちょっとね」
