どれくらい時間が経っただろう。
私はハっとして
「意味わからないです。
先生ならそろそろ戻りますけど、明らか元気ですよね」
と威嚇混じりで言った。
「まあ…
君を見にきただけだから」
「…え?」
「っていうのは嘘。
君がケガするのは見たけど、それを心配するフリしてサボッただけ」
この人最低だ…
見た目は良くても全然かっこよくない。
「私はもう行くんで…
さよなら」
「翠宮さん」
「なんですか!!!」
「これ…忘れ物」
彼はバレッタを差し出した。
それは確かにさっきまで私が使っていたバレッタ…
「えっいつの間に…」
「ケガしたときに落としてた…
そのあとみんなバスケ再開したから、気がついてないのかなーってね」
少し口元が柔らかい顔をしながら彼は私に向かって歩き出した。
