「東條くん東條くん、国語も大事だけどね。英語の課題がやばいよ」
「余裕だったけど」
「まじですか」
東條くんは頭がいい。そんなに勉強してるようには見えないけど成績はいつも学年トップクラス。うらやましい。
「玉子焼きあげるよ」
「それ菜乃のじゃなくて俺のだけど」
「あげる」
「………、どうも」
「かわりに英語教えてね!」
「だからもともと俺の玉子焼きだったんだけど?」
「ありがとう東條くん!」
「……………、はあ」
東條くんはめんどくさそうに、と言うよりもかなり憐れみを含んだ視線で私を見て、玉子焼きを食べていた。
けだるげな視線すらイケメンがやるとやっぱり違う。
私と東條くんは家はお隣さん、生まれた病院も一緒、幼稚園からずっと同じ。
所謂幼馴染みというやつだけど、彼のイケメンぶりに見飽きることはない。「幼馴染みなんて家族だよー」なんて思ったこともない。