東條くんのとある1日



嫌だ嫌だ嫌だ。すっごく嫌だ。今、会えない!てゆーか私泣いてるし!

このままじゃ確実になんで泣いてたのか聞かれるし、東條くん相手に嘘がつけるほど私は器用じゃない!

おまけに今東條くんと話したら胸の奥からこのどろどろした感情が溢れるに決まってる。



全力で手足を動かすけれど、どこぞの携帯小説の女の子みたいに私の足は速くない。

すぐに東條くんらしき足音が聞こえてきた。



「てゆうかなんで追いかけてくるのっ!」

「逃げるからだろ!」

「猫か!!」


逃げてるものがあれば追わねばならないって、動物か!!

そんな反射でおっかけてきてほしくなかったけど、でも追っかけてくれて嬉しい。けど今は会いたくないのに!

どっちがどっちかわからないぐちゃぐちゃした感情を振り切るように足を動かす。

直線ならすぐ捕まるだろうけど、なにせここは住宅街。路地も角もいっぱいある。


ぐにゃぐにゃ慣れ親しんだ住宅街を走ってるおかげさまでさすがに東條くんは見えなくなった。